こんぬづわー、元・盛岡市地域おこし協力隊きのぷーです (*> ᴗ •*)ゞ
先日、盛岡市紺屋町で建設中のマンション「レーベン盛岡紺屋町」の折り込み広告の風景で「岩手山」を見せようと思ったところ、誤って青森県の「岩木山」を掲載するという衝撃のミスが発覚しました。これには、地元民はじめ、盛岡市役所も怒り心頭(私も)。関係者が市長に謝罪する事態になりました。
私達は、単なる「画像の取り違え」に対してだけ怒ってるのではなく、その土地を象徴するものを軽んじた企業の姿勢や心にも怒ってるのです。
その上で、このミスは誰しも起こしうると捉え、私達地方の小規模事業者も教訓にして参りたいと思います。是非最後までお付き合いください。
今日のお題:地方への敬意を欠いた企業の失態~なぜ起きた?盛岡のシンボル・岩手山を「岩木山」と間違えた不動産広告問題
はじめに
2024年6月、岩手県盛岡市で、あるマンション広告が大きな波紋を呼びました。
東京に本社を置く不動産会社「タカラレーベン」が、盛岡市紺屋町に建設中の分譲マンション「レーベン盛岡紺屋町」の折り込み広告で、本来掲載すべき「岩手山」の写真を、青森県の「岩木山」のものと取り違えて掲載してしまったのです。
「岩手山ビュー」を謳いながら、全く別の山の写真を載せるというこの前代未聞のミス。
これは単なる「うっかりミス」なのでしょうか?
いいえ、この問題の根底には、地方の文化やシンボルに対する理解不足、そして敬意の欠如という、より深刻な課題が潜んでいます。
本記事では、この事件の経緯を詳しく振り返り、なぜこのような事態が起きたのか、そして私たちは何を学ぶべきなのかを深掘りしていきます。
事件の経緯:何が起こったのか?
事の発端は、2024年6月初旬に配布された「レーベン盛岡紺屋町」の折り込み広告でした。
マンションのセールスポイントの一つである「岩手山を望む眺望」をアピールするため、広告には雄大な山の写真が掲載されていました。
しかし、その写真は、盛岡市民にとって故郷の象徴である岩手山ではなく、お隣青森県の最高峰、岩木山だったのです。
タカラレーベンの説明と謝罪
この信じられない間違いは、SNSなどを通じて瞬く間に拡散され、地元住民を中心に怒りと呆れの声が広がりました。
事態を重く見たタカラレーベンは、公式サイトなどで謝罪文を発表。
「2024年6月6日(木)より実施しておりました「レーベン盛岡紺屋町」の物件チラシの眺望CGパースにおいて、誤って青森県の「岩木山」の画像が掲載されました。
いきさつとしましては、広告制作会社が建設現地にて撮影した岩手山において積雪量が多い時期のものであり、CG加工にて積雪量を調整しようと積雪量の少ない岩手山をベースにCG加工しようとしましたが、手違いにより積雪量の少ない岩木山をベースにCG加工がなされ、またその手違いに弊社並びに広告代理店が気付くことができず広告として発行されたものでございました。
誤った広告が発行されたことにより、盛岡市民の皆様をはじめ、岩手山に深い愛着や畏敬念、その他岩手山に特別な思いを持つ多くの方々の気持ちを蔑ろにしてしまう結果となりましたことに深く反省をいたしております。今後の事業につきましては、本件と同様な事態を二度と起こさぬよう、弊社、並びに協力会社共々、細心の注意を払って参る所存でございます。
この度は誠に申し訳ございませんでした。
公式サイトでの「お詫び」(2024年6月20日確認 公式サイトに掲載されていたもの)
説明によると、広告制作にあたり、制作会社は現地で岩手山の写真は撮影していたものの、冬の景観を演出するためにCGで雪の量を調整しようとしたとのこと。
その際、参考資料としてインターネットで検索した画像の中にあった岩木山の画像を誤って使用し、チェック体制も機能せず、そのまま広告に使用してしまった、というのが同社の弁明でした。
このお詫び文を見ているだけでも、盛岡や弘前での生活感をわかってない人が担当してたんだなというのが見え見えなんですけど
盛岡市の抗議とタカラレーベン役員の直接謝罪
盛岡市もこの問題を看過しませんでした。
「岩手山は盛岡市民のシンボルであり、心のよりどころ。今回の件は市民感情を傷つけ、心証を害するものだ」
として、タカラレーベンに対し厳重に抗議しました。
「マンション建設をめぐってはさまざまな意見がある中、こうした間違いは、市民の感情を逆なでする行為で、事業者は丁寧に対応するべきだ」
盛岡市景観政策課の声(2024年6月20日 NHK NEWS WEBより)
内館茂盛岡市長も、自身のSNSでコメントしました。
6月25日に、マンションの建設を進める東京の不動産会社「タカラレーベン」と広告代理店「朝日PRセンター」の責任者らが盛岡市役所を訪れ、内舘市長に直接謝罪しました。
内舘市長は、
「岩手山というのは私達のシンボルです。アイデンティティーでもあります。マンションをあの地にですね、あそこに建てるということであればですね、配慮と市民感情に、もう少し丁寧に寄り添う姿勢があったのではないかと」
「本当に謝罪の気持ちがあるならば、謝罪の気持ちを盛岡市民に伝えてほしい」
と述べ、同社に対し、徹底した原因究明と再発防止策の実施、そして何よりも市民感情への十分な配慮を強く求めました。
言うまでもなく、岩木山を地元のアイデンティティーと考えている弘前や鰺ヶ沢の方々にも失礼な話っすよ
なぜ間違えたのか?問題の本質を探る
タカラレーベンの説明は、「CG加工の過程でのミス」というものでした。
しかし、なぜ岩手県民や青森県民ならまず間違えることのない二つの山を、プロであるはずの広告制作者が見分けられなかったのでしょうか?
岩手山と岩木山:似て非なる、それぞれの故郷の山
ここで、二つの山の違いを改めて確認しておきましょう。
| 項目 | 岩手山(いわてさん) | 岩木山(いわきさん) |
| 所在地 | 岩手県(盛岡市、八幡平市、滝沢市など) | 青森県(弘前市、鰺ヶ沢町) |
| 標高 | 2,038 m | 1,625 m |
| 形状 | 複雑な成り立ちを持つ複式火山。やや非対称 | 美しい円錐形の成層火山 |
| 愛称 | 南部片富士、巌鷲山(がんじゅさん) | 津軽富士 |
| 特徴 | 岩手県の最高峰。盛岡市内各所から望める | 青森県の最高峰。独立峰として際立つ存在感 |

写真を見比べれば、その山容の違いは明らかです。
特に、日常的に目にしている地元住民にとっては、間違うことなどあり得ない存在です。
岩手山は盛岡の街のどこからでも見える文字通りのランドマークであり、岩木山は津軽平野に雄大にそびえ、「お岩木様」として信仰の対象にもなっている津軽のシンボルです。
私自身、岩木山を何度もお目にかかったけど、立派な山ですよ
「東京の会社」の「地方への無理解」が生んだミス
この「地元民ならあり得ないミス」を、なぜ東京に本社を置くタカラレーベンと朝日PRセンターが犯してしまったのか。
ここに、今回の問題の本質があります。それは、
地方に対する知識や理解、そして敬意の欠如
です。
- 「岩手山の眺望」を売りにする意識の低さ
- 本来、地域の象徴を最大限に活かした「眺望」をセールスポイントにするのであれば、その対象物である岩手山について、誰よりも正確に理解し、敬意を払うべきです。しかし、今回の件からは、単なる「記号」として岩手山を扱っていた姿勢が透けて見えます
- 安易なインターネット検索への依存
- 現地で撮影した写真がありながら、わざわざネットで参考画像を探し、しかもそれを誤用してしまうというのは、広告制作プロセスにおける基本的な確認作業の欠如、プロ意識の欠如と言わざるを得ません
- 地方の文化・シンボルへの想像力の欠如
- 東京のオフィスでパソコン画面だけを見て作業していると、その山が地元の人々にとってどれほど大切な存在であるか、という想像力が働きにくくなるのかもしれません。しかし、地方でビジネスを展開する以上、その土地の文化や歴史、人々の想いに対する最低限の理解と配慮は不可欠です。
「東京の会社が、地方のことをよく知らないまま、安易な仕事をして失敗する」
というのは、残念ながらしばしば聞かれる話です。
今回の同社の失態は、その典型的な例と言えるでしょう。
どうすべきだったか?再発防止への提言
このような基本的なミスを防ぐためには、企業としてどのような対策を講じるべきだったのでしょうか。
- 現地・現物主義の徹底
- 広告に使用する写真は、可能な限り現地で撮影したものをそのまま使用する。CG加工などが必要な場合でも、元となる素材の正確性を最優先する
- 厳格なチェック体制の構築
- 制作担当者だけでなく、複数の目(可能であれば、地域の事情に詳しい人物を含む)で、デザイン、コピー、使用素材など、広告のあらゆる要素をダブルチェック、トリプルチェックする体制を構築する
- 地域文化・シンボルへの理解と敬意
- 地方で事業を展開する際には、事前にその土地の歴史、文化、そして人々が大切にしているシンボルについて学び、敬意を払う姿勢を企業文化として醸成する。マーケティング担当者だけでなく、全社員がこの意識を共有することが重要
- 外部専門家の活用
- 必要に応じて、地域の地理や文化に精通した専門家や、地元関係者に広告内容の監修を依頼することも有効な手段
まとめ:地方への敬意を欠いた企業が失うもの
今回のタカラレーベンのマンション広告問題は、単なる「画像の取り違え」という表面的なミスにとどまらず、企業が地方でビジネスを行う上で、その土地に対する敬意や理解を欠くことが、いかに大きな信頼失墜につながるかを改めて浮き彫りにしました。
盛岡市民にとっての岩手山、そして青森県民にとっての岩木山は、単なる風景の一部ではありません。
それは、故郷の象徴であり、心の支えであり、日々の暮らしに溶け込んだかけがえのない存在です。
その大切なシンボルを、しかも「眺望が魅力」と謳う広告で間違えるという行為は、その土地で暮らす人々の感情を深く傷つけるものです。
グローバル化が進む一方で、地域の個性や文化の価値が再認識されています。
企業が持続的に成長していくためには、本社がどこにあろうとも、事業を展開する地域社会への深い理解と敬意、そして真摯なコミュニケーションが不可欠です。
今回の事例を他山の石とし、すべての企業が地域とのより良い関係性を築いていくことを願ってやみません。
地域間交流を大事にしている私自身、他人事ではないので、重々気を付けます
関連ウェブサイト
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